山手線のあやとり娘 電子書籍版
495円(税込)
作品内容
電車の中で出会った無口な少女は何を伝えようとしているのか赤いランドセルを背負った女の子が、山手線のなかでひとりであやとりをしていた。赤い毛糸でさまざまの形を作りながら、となりに坐ったぼくの方を横目でちらちらと見る。夜の九時過ぎ。ぼくは帰宅の途中だった。ふいに、女の子が「つり橋」を作って、ぼくの方に差しだした。両の手首と中指に糸を掛ける、二人あやとりの最初の形だ。(「山手線のあやとり娘」より)短篇の名手が趣向を凝らして描く、世にも不思議な世界。傑作短篇集。・暴走バス・山手線のあやとり娘・うそのにおい・思い出のヴァギナ・明日を思い出す・二本足のンダ・剃刀娘・むかし聴いた曲・夏の彼女・薔薇の館・祖父の物語・発作・改札口の女・隣人●中井紀夫(なかい・のりお)1952年生まれ。武蔵大学人文学部卒業。ハヤカワSFコンテストを経てデビューし、短篇「山の上の交響楽」で星雲賞を受賞。主な著書に、『能なしワニ』シリーズ、『タルカス伝』シリーズ(ともに早川書房)、『漂着神都市』、『海霊伝』(ともに徳間書店)など著書多数。
作品情報
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