両膝を怪我したわたしの聖女 電子書籍版
2999円(税込)
作品内容
決 壊 す る 文 体――圧倒的な感情がほとばしり、膨れ上がり自壊する言葉の群れが未熟な欲望を覆い尽くす。10歳の少女らを閉じ込めるひどく退屈な夏休み、早熟なふたりの過激で破滅的な友情。スペイン最南カナリア諸島発、世界18カ国語に翻訳の問題作。 ◇ ◇ ◇スペイン・カナリア諸島に暮らす、10歳の「わたし」と親友イソラ。せっかくの夏休みは、憂鬱な曇天に覆われていた。薄暗い貧困の地区を抜け出して、陽光のふりそそぐサン・マルコス海岸に出かけたいのに、仕事に追われる大人たちは車を出してやる余裕がない。ふたりの少女は退屈しのぎのため、不潔にして乱暴、猥雑で危うい遊びにつぎつぎ手を染める。親友というには過激すぎる、共依存的関係性。「わたし」にとってイソラはまるで聖女のように絶対的な存在だった。イソラが両膝を怪我すれば、舌でその血をなめとった。イソラの飼い犬になりたかった。粗暴な物語に織り込まれた緻密な象徴の数々。子どもらしいイノセンスとは無縁の、深い悲しみに由来する頽廃と陶酔の日々。イソラと共にある日常は永遠に続くかに思われた。しかし―― ◇ ◇ ◇Andrea Abreu, Panza de burro (2020)装丁:コバヤシタケシ装画:さめほし「夜明けの海」
作品情報
作者の関連作品作者の作品一覧