縄文 革命とナショナリズム 電子書籍版
3080円(税込)
作品内容
戦後日本は何につまずき、いかなる願望を「縄文」に投影したのか。岡本太郎が縄文を発見し、思想家、芸術家たちのなかで縄文への関心が高まった。柳宗悦ら民芸運動の巨匠たちが縄文に本当の美を見いだし、島尾敏雄が天皇以前の原日本人の姿を託し、吉本隆明を南島論へと向かわせた。縄文は日本赤軍のイデオロギーにも取り込まれ、オカルトを経由しニューエイジ、スピリチュアリズムに至る。梅原猛が霊的世界を称揚する縄文論を展開し、「縄文ナショナリズム」を生み出すことになった。それは、一九九〇年代の右傾化現象のなかでさらに裾野を広げている。戦後日本人の新たな精神史。アナーキストも保守思想家も、縄文には夢をたくしてきた。その系譜を細大もらさずおいかける、超古代幻想の現代史。――井上章一あらゆる「日本」が投影される縄文の現代史を網羅し、その思想の体系を詳述した重要な一冊。――いとうせいこう序章 戦後日本が「縄文」に見ようとしたもの第一章 岡本太郎と「日本の伝統」 縄文発見 対極主義と「日本の伝統」第二章 民芸運動とイノセント・ワールド 民芸運動と「原始工芸」 濱田庄司の縄文土器づくり 最後の柳宗悦第三章 南島とヤポネシア 島尾敏雄の「ヤポネシア」論 吉本隆明『共同幻想論』と「異族の論理」 ヤポネシアと縄文第四章 オカルトとヒッピー 空飛ぶ円盤と地球の危機 原始に帰れ!――ヒッピーとコミューン第五章 偽史のポリティクス――太田竜の軌跡 偽史と革命 「辺境」への退却 スピリチュアリティ・陰謀論・ナショナリズム第六章 新京都学派の深層文化論――上山春平と梅原猛 上山春平の照葉樹林文化論 梅原猛――縄文とアイヌ終章 縄文スピリチュアルと右派ナショナリズム
作品情報
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