言葉はいのちを救えるか? 電子書籍版
2090円(税込)
作品内容
どうして人はいつか死んでしまうのに生きるのだろう?優生思想、障害、安楽死と緩和ケア、子どもたちの自殺、コロナ対策、終末期医療費、HPVワクチン、ニセ医療薬……最前線で取材を続ける医療記者、渾身のノンフィクション。難病を患いながら詩や画の創作に打ち込む兄弟、重度の知的障害者で一人暮らしを続ける青年、人を生産性で計ろうとする風潮に抗う研究者、安楽死の議論を広めようとする治りにくいがんの写真家、高齢者医療費についての誤解を糺す学者、HPVワクチン接種後の体調不良の苦しみを語る母娘……医療にかかわる問題の最前線を歩き取材してきた記者が、病いや障害、喪失の悲しみ・苦しみを生きる力に変えるべく綴る医療ノンフィクション。わたしたちが直面するさまざまな医療問題が、この一冊に詰まっている。【目次】I部■優生思想に抗う1 難病と生きる──岩崎航・健一さんの「生きるための芸術」2 知的障害者が一人暮らしすること──みんなを変えたげんちゃんの生き方3 なぜ人を生産性で判断すべきではないのか──熊谷晋一郎さんに聞く負の刻印「スティグマ」II部■死にまつわる話4 安楽死について考える──幡野広志さんと鎮静・安楽死をめぐる対話5 死にたくなるほどつらいのはなぜ?──松本俊彦さんに聞く子どものSOSの受け止め方6 沈黙を強いる力に抗って──入江杏さんが語る世田谷一家殺人事件もうひとつの傷III■医療と政策7 「命と経済」ではなく「命と命」の問題──磯野真穂さんに聞くコロナ対策の問題8 トンデモ数字に振り回されるな──二木立さんに聞く終末期医療費をめぐる誤解IV部■医療の前線を歩く9 HPVワクチン接種後の体調不良を振り返る──不安を煽る人たちに翻弄されて10 怪しい免疫療法になぜ患者は惹かれるのか?──「夢の治療法」「副作用なし」の罠11 声なき「声」に耳を澄ます──脳死に近い状態の娘と14年間暮らして終章 言葉は無力なのか?──「家族性大腸ポリポーシス」当事者が遺した問い「しんどいことばかりで生きる気力を失いそうになる時、命綱のように自分をつなぎ止めてくれる言葉。どんな状態にあっても、そのままの自分を肯定し、それでも生きることを励ましてくれる言葉。 もし、そんな言葉を誰かと分かち合えたなら、ひとりで引き受けなければいけない心の痛みが少しでも軽くはならないだろうか。誰かが心の奥底から発した言葉で自分の人生が照らされるなら、ひとりで生まれて、ひとりで生の苦しさを引き受け、ひとりで死ぬ絶対的な孤独が少しでも和らがないだろうか。そんなことを夢見て、私は今日も言葉を探しにいく。」(「はじめに」より)
作品情報
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