ホッブズ 人為と自然 自由意志論争から政治思想へ 電子書籍版
6270円(税込)
作品内容
【内容紹介・目次・著者略歴】17世紀のヨーロッパに生きた思想家は、いくつもの難題に直面していた。人為と自然、精神と物体、そして認識と存在。キリスト教共同体とコスモロジーの動揺は、一方では人間を自己の存在の主体としつつ、他方では存在のもろさを露呈させたからである。しかも、人間存在には強さと弱さが共存するという自覚に、自然についての学の展開が重なり合う。まさにホッブズは、人間は精神を持つ肉体として自ら決定できる、しかし物体の運動には全て法則がある、という両立困難な二側面に正面から向き合った。だからこそ彼は、言語のありかたと物体の運動から根源的に考え抜き、人間の情念にも眼を向ける。そして、決定論を直視しつつも、人為的な秩序を作り出そうと苦闘する。自由意志論争から論を起こし、ホッブズの政治思想における精神の役割を探究する本書は、スコラ哲学の伝統を視野に入れつつ、大陸の合理主義的哲学と共通の地平に立ってホッブズの政治思想を捉えようとする、独創的な業績である。【目次より】凡例序論一節 問題の所在二節 研究史三節 本書の構成一章 ジョン=ブラモール一節 自由意志論争の背景二節 スコラ哲学の継承三節 ブラモールの政治思想四節 中世哲学史におけるブラモールの位償づけ二章 自由意志論争におけるホッブズの視座一節 研究史と分析視角二節 自由と強制三節 熟慮と選択四節 国家と個人五節 三つの視座に関する思想史的考察三章 制作と二つの自然 『物体論』をめぐって一節 三つの原因概念二節 運動一元論の難点三節 制作と二つの自然四節 制作の条件四章 情念論とその政治的射程一節 運動としての位相二節 主観的経験という位相三節 人間的位相四節 情念と政治五章 政治思想における人為と自然一節 自然法と理性二節 日常言語としるし三節 人為と自然結論 自然の変容と国家の制作補論 ホッブズ研究史の一断面はじめに一節 ソレルのホッブズ解釈二節 ザルカのホッブズ解釈おわりに註あとがき参考文献※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能も使用できません。川添 美央子1970年生まれ。政治思想史家。慶応大学教授。慶應義塾大学法学部卒業。慶應義塾大学法学研究科博士課程単位取得退学。博士(法学)。専門は、西洋政治思想史。著書に、『ホッブズ 人為と自然』などがある。
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