誰かが私をきらいでも 電子書籍版

  • 誰かが私をきらいでも 電子書籍版
  • 1540円(税込)

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    作品内容

    はじめに たとえ今が生きづらくてもいろんなところで目にする、生きづらいって言葉を。迷ったり悩んだり足掻いたりする以前の、もっと曖昧な「ここは自分のいる場所ではないんじゃないか」という思い。そして「生きていてもいいのか」という疑問。何かが足りなくて、何かがはみ出して、世の中をうまく泳げないでいる。そんな人たちが多い。私もかつて生きづらさを抱えた人間のひとりだった。それこそ息をするのも苦しかった時期がある。人を傷つけ、同時に自分も傷つき、そして血を流している身をほじくるみたいに私は詞を綴り続けた。少しずつ傷が癒えても、そのかさぶたをまた爪で剥がし、とことんまで自分を抉り出す。そんなことばかり繰り返してきたような気がする。それが生きづらさと闘う自分で、かつ生きていることの証しだった。いつからだろう、ちゃんと息ができるようになったのは。ガラスのように繊細で、ナイフのように尖っていた少女は、時が経つうちに、生きにくいも生きやすいもクソもねえ、とにかく自分を生きていくだけなんだよと腹をくくったおばさんに進化した。おばさんになればなるほど楽になる。増加する体脂肪と反比例して、心はどんどん軽くなるのだ。そして、ふと立ち止まって考えたあるときに、そのしんどさはたぶん「人にきらわれるのが怖い」という気持ちから来ているのではないかと気づいた。誰だって人に好かれたいし評価されたい。それ以上にきらわれるのはイヤだ。かと言って、きらわれずに済むように適当に人に媚びて、嘘でもいいから口当たりのいい言葉を言って、うまく付き合っていくなんてなかなか難しい。どんな人にでも「自我」があるから。でもね。これもまたあるときに気づいた。自分が100人の人(学校に例えると3クラス分くらい)を全員同じように好きになることができないように、100人全員に好かれることはできない。もし誰にもきらわれない人がいるなら、それはみんなに好かれているということではなくて「興味を持たれていない」ことなんじゃないだろうか、と。100人の中には敵がいる。でもきっと味方もいる。きらわれることの恐怖感から抜け出せたら、何となくだろうけど、世界は変わり始めると思う。そのきっかけがどこにあるのか、私自身も具体的にこうだったということを思い出せない。ただ、いくつものさりげない出来事を重ねて今に至っているのだろう。人生は決して楽ばかりではない。だけど言い換えれば、そのしんどさ自体が生きている証拠でもある。悲しみがあるから喜びの値打ちがわかるように。人生はいつだってプラスとマイナスの両方でできている。おばさんになった私は、そう実感している。大丈夫だよ、生きていていいんだよ。あの頃の自分にそう言ってあげたいがために、私はこれを記したのかもしれない。そして、誰かの心の小さなトゲを、たとえひとつでもいい、抜いてあげることができたなら、それもまた私にとって今まで生きてきた意味だとも思える。

作品情報

出版社
ベストセラーズ
提供開始日
2019/01/19
ジャンル
ビジネス・実用

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