幽幻街 電子書籍版
495円(税込)
作品内容
日常生活の隙間からしのびよる怪しい影引いている。何かが、僕の身体を……後ろへ引き倒そうとしているのだ。それは、ダッフルの裾にくっついていた。顔を右へねじ向けて、眼を開けた。真っ白い女の顔が見えた。眼ばかりが洞みたいに黒く、唇がひどく紅い。口紅じゃあない、あれは血だ。女の人は白い着物を着ていた。同じ色の手が袖口からのびて、ダッフルの裾を掴んでいる。(「オータム・ラン」より)怪奇小説の名手がおくる幻想ホラー短篇集。・黒丸・サラ金から参りました・化粧(メイク)・オータム・ラン・安住氏への手紙・漬物ならぬ・曲がり角・求婚者たち・風の十文字・娘の正体●菊地秀行(きくち・ひでゆき)1949年、千葉県生まれ。青山学院大学卒業後、雑誌記者の傍ら同人誌に作品を発表し、1982年『魔界都市“新宿”』でデビュー。1985年、『魔界行』三部作が大ヒット、人気作家の座を不動のものとした。伝奇・幻想・バイオレンス小説の第一人者。著作は300冊を超える。
作品情報
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