月影の水都 電子書籍版
550円(税込)
作品内容
ここなら死に場所にふさわしい。薄れゆく意識の中で、ジュリアは思った。復讐心に燃えてベネチアまで来たものの、もはや力尽きた。真冬の石畳の上で凍え死ぬほかない……。そう観念したとき一人の老人が現れ、古びた宮殿に彼女を連れて行き介抱してくれた。老人の心遣いと、宮殿の所有者ビンチェンツォの優しい眼差しに、思わずジュリアは心を許しかけた。しかし、慌ててそんな自分を押しとどめた。私はもう二度と、誰も信用しないと決めたのだから。
作品情報
作者の関連作品作者の作品一覧