長安の片隅、あたたかい食堂 電子書籍版
968円(税込)
作品内容
細雨にそよ風、青い幟が揺れる小さな店。異国の胡姬は花のように微笑み、新豊の美酒に、若い葵と筍、金齑玉鱠――香り立つ料理が、今日も長安の一角を満たしている。京兆少尹・林晏の視線は、その店の女主人――雪のように白い肌と杏の瞳をもつ彼女に向けられた。名門の令嬢が、今や当垆に立ち酒を売る身。なんと哀れで、なんと嘆かわしいことか……。――しかし。沈韶光は今日もご機嫌だ。美酒と美食に囲まれ、通りを行き交う凛々しい若者たちを眺めながら、「こんなに楽しい暮らし、他にある?」と心の中で笑う。一方の林晏は眉ひとつ動かさず、冷ややかに思う。派手に着飾り、馬を駆り、闘鶏に興じる五陵の若造ども――……そろそろ、きっちり取り締まるべきではないか。
作品情報
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