記憶のかけらを集めて 電子書籍版
550円(税込)
作品内容
― 記憶は、いつもそばに私たちは、忘れる生きものだ。覚えていたはずのことが、気づけば遠く、かすんでしまっている。けれどふとした瞬間、ひとつの音や匂い、光の揺れが、あの日の自分をそっと呼び戻すことがある。それは、記憶のかけら。拾い集めるようにたどるうち、いつしか「私」という輪郭が見えてくる。この物語は、私が紡いできた、いくつもの「思い出し方」の記録。どれも日常のほんのすきまにある風景だけれど、そこには確かに、あのときの「私」が、生きている。記憶は、ただ過去を懐かしむためのものじゃない。いまを照らし、これからへとつながっていく、やわらかくて、しなやかな灯りなのだ。もしあなたが、いま立ち止まっているのだとしたら。もしどこかに、大切な何かを置いてきたままだと感じるのなら。この物語のどこかに、あなたのかけらが見つかりますように。
作品情報
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