日英開戦への道 イギリスのシンガポール戦略と日本の南進策の真実 電子書籍版
1980円(税込)
作品内容
「大東亜戦争(太平洋戦争)」については主に「日米開戦」に至る過程に焦点があてられ、真珠湾攻撃より早く始まった日本とイギリスの開戦への経緯は等閑視されている。本書は、まず、イギリスがシンガポール海軍基地建設し、ワシントン軍縮条約、日英同盟が破棄された1920年代以降の、日英の南洋における利権の対立を分析する。英連邦(イギリス、オーストラリア、ニュージーランド、シンガポール、マレーシア)では、日本によるシンガポール陥落や東洋艦隊の壊滅は、イギリス帝国史上最大級の恥辱的出来事とされ、「失敗の原因」を探るという観点から「イギリス『シンガポール戦略』の失敗」に関して大きな関心が、戦後直後から現在にいたるまで、持たれている。本書は、イギリスの南洋政略と当時の日英のシーパワーのバランス、日本の南進策の実態、陸海軍の対英米観の相異の変質を明らかにしながら、日英開戦に至った経緯をグランド・ストラテジー(大戦略)の観点から検証する目次序章 「シンガポール戦略」「ジェリコ・リポート」「シンガポール戦略」の起源シンガポール基地建設案の採用とその後センバーワン海軍基地縮小される基地計画政権交代とシンガポール海軍基地建設開始と引き伸ばされる建設期間対自治領政策から対日戦略へ帝国両端での脅威シンガポール海軍基地の開港「シンガポール要塞」の実情約束の履行開戦「プリンス・オブ・ウェールズ」撃沈シンガポール陥落第一章 太平洋のバランス・オブ・パワーワシントン会議に向けた海軍の準備ワシントン会議に向けた陸軍の準備ワシントン会議に向けた日英の基本方針ワシントン海軍軍縮条約第一九条陸軍の反対新たなるバランス・オブ・パワーの成立帝国国防方針帝国国防方針改定ジュネーヴ会議ロンドン軍縮会議に向けてロンドン会議への基本姿勢おわりに――「シンガポール戦略」と日本海軍第二章 海軍軍縮体制の終焉ロンドン会議と統帥権干犯問題満洲事変と第一次上海事変海軍軍縮の終焉と第一九条おわりに第三章 世論の受け止め――一九二〇年代基地との最初の遭遇関東大震災とその後労働党による一時休止シンガポール海軍基地をめぐる日英の外交協力シンガポール海軍基地と一九二〇年代の論客たちおわりに――一九二〇年代の言論空間におけるシンガポール海軍基地第四章 世論の受け止め――一九三〇年代「一九三五~六年の危機」未来戦記とシンガポール海軍基地反英論の盛り上がりとシンガポール海軍基地頂点を迎える反英論池崎忠孝『新嘉坡根拠地』おわりに――一九三〇年代の言論空間におけるシンガポール海軍基地第五章 一九三六年の南進策の再検討南進策の浮上「帝国国防方針」の改定南進策の主唱者たちおわりに――一九三六年の南進論第六章 マレー・シンガポール攻略「作戦計画」の起源と進化作戦計画なき「作戦計画」マレー・シンガポール攻略作戦の起源井本熊男の南洋視察旅行「マレー・シンガポール攻略作戦」作戦計画の進化おわりに――「作戦計画」の持つ意味とは?第七章 欧州戦争の衝撃と南進欧州戦争と日本おわりに――一九四〇年の南進論第八章 大戦略なき開戦戦争への躊躇――一九四一年春独ソ戦開戦前夜の状況独ソ戦の衝撃戦争への道おわりに――対英戦争から対米戦争への拡大第九章 シンガポール攻略に向けた準備の完成シンガポール攻略に向けた準備おわりに
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