画壇文壇 虫めがね式探訪記 藤田嗣治から太宰治まで 読売新聞DB「ヨミダス」 150年の記事より (読売新聞アーカイブ選書) 電子書籍版
999円(税込)
作品内容
藤田嗣治に高村光太郎、芥川龍之介に太宰治……。彼らの作品は今も多くの人に愛されているが、彼らが生前に何を思い、どんな人と交流していたのかを詳しく知ることは容易ではない。著者の前田氏は本書で、明治半ばから現在まで読売新聞文化面で続く短信欄「よみうり抄」などに載った短い記事を端緒に、彼らの心の機微や若き日の姿に迫っていく。「よみうり抄」は文化人の消息や行事告知などを掲載してきた。例えば1912年6月には、無名時代の藤田の漫画展を紹介。藤田が漫画とは意外だが、一体どんな絵だったのか。前田氏は20年7月の、驚きの記事にも触れる。<藤田嗣治氏 巴里にて死去した由>。実際は藤田がパリで地歩を築きつつある時期で誤報なのだが、訂正記事が出たのは半月以上あと。遅れた理由も推察する。35年4月に掲載された、井伏鱒二が描いた太宰の絵にまつわる考察にも注目だ。太宰がハサミ将棋を指す絵だが、前田氏は鵜飼哲夫・読売新聞編集委員にも話を聞き、絵の掲載に至った経緯に太宰の起こした“事件”と、井伏の“親心”があったのではないか、とする。他にも、知られざる出来事や人間関係などが満載で、謎解きのような面白さがある。目次・若きフジタの「漫画展」――青春時代の藤田嗣治・高村光太郎と萩原碌山――1910年4月の群像・最も新しい女性画家――高村智恵子の青春・横山大観、なにするものぞ――美術記者・正宗白鳥の冷徹・貧しき画家Sを探して――室生犀星と清水太郎・複製と本物のあいだ――芥川龍之介の場合・井伏鱒二と「太宰治 ハサミ将棋の図」──読売文芸部の「余技展覧会」
作品情報
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