シリーズ「時代の証言者」 昭和の牛若丸 元関脇藤ノ川 人生、俵伝いの粘り腰(読売新聞アーカイブ選書) 電子書籍版
1300円(税込)
作品内容
昭和の大横綱である柏戸、大鵬が渡り合った柏鵬時代に「牛若丸」の異名をもつ名脇役として活躍した元関脇藤ノ川(本名・森田武雄さん)の回顧録。名勝負の記憶から、引退後に名門「伊勢ノ海」の名跡を襲名し、後年不祥事に揺れた角界の立て直しに奔走した日々まで、全力で駆け抜けた相撲人生を振り返る。1946年北海道に生まれ、元は野球少年だったものの、中2の時に次兄の縁で伊勢ノ海親方(元幕内柏戸)にスカウトされ角界入りした。新入幕は1966年で178センチ・94キロと相撲の世界では「小兵」ながら、翌年の春場所で殊勲、技能のダブル受賞を飾り「今牛若」とも呼ばれた。けががもとで1972年に26歳で引退し、その後は親方、相撲協会理事として尽力。2000年代に噴き出した新弟子への暴行、大麻、野球賭博、八百長といった「未曽有の危機」に対処し、苦悩した日々も振り返ったが、「土俵の円は無限大。押し込まれても俵伝いに回れば勝機が見える」と語る粘り強さが身上だ。柏戸、大鵬の稽古風景の記憶や、断髪式で長嶋茂雄、王貞治の両巨人軍選手(当時)にはさみを入れてもらった思い出など「巨人、大鵬、卵焼き」を地でいく相撲黄金期のエピソードが生き生きと語られ、昭和から平成、令和に至る貴重なオーラルヒストリーとなっている。目次(1)名脇役 立て直し役へ(2)十勝の大きな野球少年(3)粉雪舞う日のスカウト(4)入門に反対 お袋の涙(5)東京五輪目指した次兄(6)初の電車 揺れに苦戦(7)初土俵緊張 冷たい汗(8)雑用なし 高校生力士(9)体重増 19歳の新十両(10)角界のキッシンジャー(11)ソ連の旅 力士ミソ重宝(12)筋書きあるドラマほか
作品情報
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