涼しき無 電子書籍版
1100円(税込)
作品内容
◆第三句集この句集に主題の明確な作が多いのは、私なりの挑戦だ。とはいえ、作者の意図は脇に置いて、読者の方には自由に鑑賞していただければ嬉しい。たとえば子供を詠んだ句が多いが、この句集に出てくる子供は、私の息子でもあり、戦場のみなしごでもあり、安寿厨子王でもあり、あるいは私自身でもあるだろう。(あとがきより)◆自選十五句通帳と桜貝あり抽斗にぶらんこを押してぼんやり父である忘るるなこの五月この肩車星光は闇払へざる氷かなスカイツリー見ずや冷たき缶集め子にほほゑむ母にすべては涼しき無駅前に人は濁流秋の暮列聖を拒みて鳥に花ミモザ抱きとめし子に寒木の硬さあり疫病が来るよ猫の子雀の子ぬぐふものなくて拳や米こぼすパンのみに生くると決めて卒業すふるさとに舟虫走る仏間ありあれはみなしごの水筒月の川部屋にゐて世界見通す寒さかな
作品情報
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