学校と日本社会と「休むこと」 「不登校問題」から「働き方改革」まで 電子書籍版
3190円(税込)
作品内容
学校に行かないのは「問題」?身体を壊しても部活動に打ち込むのは「美しい」?教育現場や社会を取り巻く「皆勤」の空気と、ワークライフバランスを教育相談の第一人者と考える。学校に行かないことが不登校として「問題」だと言われるのはなぜか。身体を壊しても打ち込んだ部活動が「美しい」のはどうしてか。多年にわたり教育相談に従事してきた著者がみた日本社会、はなはだしくは過労死にもいたる「皆勤」の空気と、それに囲まれた現代学校の姿を浮き彫りにする。【序章より】日本社会ではコロナ禍前から「働き方改革」が叫ばれていました。しかし、過労死・過労自殺が喫緊の課題と認識されるようになってから約30年、遅々として進まないようにも見えてしまいます。日本社会の働き方、特に長時間労働を変えるのにどうしてこれほど時間がかかるのかという疑問と、コロナ禍を経験しても「休むこと」についての意識・行動が変わらないことが私の中で結びついていきました。わかりやすく言えば、学校教育に原因があるのではないかということです。本書は、日本社会の長時間労働と学校教育の「欠席」を結びつけて考えるようになった道筋を記すことになります。【主要目次】序章 「休むこと」についての意識は変わってきたのか?第I部 日本社会と「休むこと」第1章 「休むこと」についての意識変化1「休むこと」は悪いこと?/2「過労死」は日本特有?/3「働き方改革」が始まる/4有給休暇の取得義務/5勤務間インターバルの努力義務化/6男性の育児休暇取得第2章 日本社会の働き方1半ドン?/2「24時間戦えますか?」/3「過労死」への注目/4首相も「過労死」/5自殺の増加と「過労自殺」への注目/6労働時間の減少とサービス残業/7電通第二事件の衝撃第3章 長時間労働と勤務間インターバル1国家公務員の場合/2 二つの「2024年問題」第4章 教員の場合1一年以上の休職者と教員の自死/2教員の「働き方改革」/3長期の病気休職取得者と早期退職者/事例研究から浮かぶ実態第II部 スポーツ界と「休むこと」第5章 高校野球と「休み」1高校野球の「休養日」/2「球数制限」の導入/3佐々木朗希選手の決勝「登板回避」/4「投げすぎ」は体によくない第6章 近年のスポーツ界等の動向1大坂なおみ選手の記者会見拒否/2バイルス選手のオリンピック決勝棄権/3水泳萩野公介選手の休養/4バスケットボール馬瓜エブリン選手の休養/5サッカー界第7章 高校野球の今後1 2023年春の全国大会とWBC/2「休養日」導入まで/3「球数制限」?/4監督の「休み」?第III部 学校教育と「休むこと」第8章 皆勤賞という存在1皆勤賞の消滅/2「ワークライフバランス」第9章 「出席停止」という規定1「出席停止」と皆勤賞/2「出席停止」と「勤務間インターバル」「球数制限」との共通性/3文部科学省の長期欠席・不登校調査における混乱第10章 入学試験における「欠席」1大学入試の場合/2高校入試の場合/3その他の試験における欠席及び追試第11章 学校の部活動におけるガイドライン1ガイドラインによる活動制限/2部活動の「休み」?/3部活動の位置づけ/4二つの「がんばる」第IV部 「休むこと」について考える第12章 「欠席」からみた戦後学校教育1「学校は行かなくてはならない」という通念/2「学校を休むことは悪いこと」第13章 具合が悪くても休まない学校教育1「長期欠席」から取り出された「不登校」/2「学校を休んではいけない」という呪縛/3毎日学校に行く児童生徒/4「不登校」のグレーゾーン第14章 「長期欠席」に注目しなくなった学校教育1不就学への無関心/2一年以上居所不明児童生徒の見落とし/3虐待及び非行事件を契機とした「長期欠席」調査/4日本社会における「不登校」という認識とバックラッシュ第15章 「休むこと」についてのルールと無知学1高校の「欠席」についてのルール/2働く人にとっての「休むこと」についてのルール/3無知学という視点第16章 学校教育における「しつけ(躾)」1学校教育の社会化機能/2発達課題としての勤勉性再考/3年休をどのように使っていますか?/4「休まない美学」と「休む美学」そして再び「皆勤賞」終章 欠席と遅刻コラム 病気休暇と休職制度/過労死・過労自殺の認定/教員不足/マラソン円谷選手の自死/長期欠席・不登校調査の変更/大学入学共通テストの追試/フランスはいかにして「バカンス大国」になったのか/ガイドラインが求める大会の見直し
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