ニッチの頂点 地方メーカー世界一への軌跡 電子書籍版
1672円(税込)
作品内容
小さな町工場が見出した商機。ものづくりへのこだわりとシンプルな戦略を徹底して貫き、世界が認めるニッチの頂点へ!コア技術の確立、市場開拓、海外戦略、組織改革……革新的なタイヤ加硫機用バルブを開発し、世界トップシェアを築いたものづくり企業の挑戦の軌跡。------------------------------------------------------1978年、国内では未曾有のマイカーブームが起こり、世帯あたりの自動車保有台数が50%を超えようとしていた時代に、わずか4畳ほどの小さな設計室で一つのバルブが誕生しました。それは業界の常識を覆し、のちに世界トップシェアを獲得する革新的な製品として不動の地位を築くものとなりましたが、その道のりは平坦ではありませんでした。 著者が経営する会社は、タイヤ製造に使用する加硫機用バルブや設備機器などを作るニッチな業界のメーカーです。もともと鉄工所で自動化設備などを設計していた著者の父が、故郷に戻って起業したのが始まりでした。「加硫機用バルブ」は、自動車のタイヤを製造する過程で、ワイヤーなど複数の部材を組み合わせるために熱や圧力を加える「加硫機」を調整する部品の一つです。以前は米国の大手メーカー製が主流でしたが、壊れやすく修理しにくいという難点があり、それが当たり前とされていました。加硫機用バルブはニッチな製品であるため作り手が少なく、品質、構造、仕様などを改良する人がいなかったのです。著者の父は改良の余地があるものだからこそ商機があるという考えから、価格を抑え、壊れにくく、メンテナンスしやすい加硫機用バルブの開発をスタートさせます。その結果、それまでの「高価な割に壊れやすい」というバルブの常識を覆す、革新的な製品を生み出すに至ったのです。この新製品は、国内はもちろん海外からも注目を浴び、注文が殺到するようになりました。 しかしその後も、安価な類似品を作る他社との競争や、長時間労働、人手不足、在庫不足といった中小企業につきものの経営リスクなど、企業として解決すべき多くの問題に見舞われ、必死にそれを乗り越えてきたと著者はいいます。革新的なバルブの誕生から45年ほど経った現在、加硫機用バルブの市場において、著者の会社は推計で国内90%以上、海外30%前後のシェアを占めています。開発に端を発し、さまざまな波にもまれながら、小さな町工場だった会社は世界に認められるニッチトップ企業へと成長してきたのです。本書は、名もない地方の町工場がニッチトップの座をつかみ、その地位を不動なものにするまでの軌跡をまとめたものです。トップへ上り詰める過程で、どのような問題に突き当たり、それを解決してきたのかも詳しく説明しています。地方の中小企業やものづくりに情熱を傾ける企業にとって、さらなる発展と成長のヒントとなる一冊です。
作品情報
作者の関連作品作者の作品一覧
この作品が好きな方はこちらもおすすめ