ユニオンズ戦記 電子書籍版
3300円(税込)
作品内容
あっという間に消えた幻のプロ野球団!1954年から56年までのわずか3年間、「高橋ユニオンズ」というプロ野球チームが存在した。このチームに興味を抱いた著者・川島氏は、史的調査の過程で、夕刊「新大阪」(新大阪新聞社)の記者で、のちに作家となる足立巻一(小説「やちまた」)にたどり着く。パ・リーグの存続をめぐり新大阪新聞社(黒崎貞治郎、小谷正一、足立等の記者たち)をはじめ大手新聞社や大映・永田雅一が大きな役割を果たしていた時代だった。1953年パ・リーグは7チームで構成されており、端数が生じるため、全チームが揃う形での公式戦を開催できないでいた。そこで、勝率3割5分を切ったチームは、強制的に解散という罰則を設けたが適用チームが現れることは無かった。1954年、開幕前に高橋龍太郎をオーナーとして高橋球団が設立される。連盟は急造のため各チームから選手供出を申し合わせたが、集まったのは扱いに手を焼く選手や戦力外の選手たちばかりだった。チーム名は高橋が経営する大日本麦酒の商品「ユニオンビール」からつけられた。1955年、トンボ鉛筆と提携し「トンボユニオンズ」と改称するもわずか1年で解消となる。その1955年では、同球団所属のヴィクトル・スタルヒン投手が日本球界初の300勝を達成。スタルヒンは球団の契約選手第一号であった。1956年に、再び「高橋ユニオンズ」の名に戻ることとなり、また同じ1956年には慶大のスター選手、佐々木信也が入団。全試合全イニング出場、リーグ最多安打を記録する。しかしその後、資金繰りが悪化し、8チームでの試合編成が多すぎたことから、1957年に大映スターズに吸収され大映ユニオンズとなる。1957年2月、ユニオンズは岡山県野球場で解団する。フェンスには「高橋ユニオンズ解団」と書かれた横断幕が貼られ、チーム全員で記念撮影をした後、選手一人ずつが他球団担当者の元へ呼ばれ、それが移籍先となったのであった。1958年、ユニオンズは、毎日オリオンズに吸収され毎日大映オリオンズとなるのであった。本書は、高橋ユニオンズの設立から解団までの主な歴史的動きと、新聞各社及びプロ野球連盟、球団オーナーたちの深謀遠慮を、綿密で執拗な取材と詳細な記述でまとめた、もう一つの「プロ野球史」である。【目次】第1章 憧憬第2章 邂逅第3章 夢幻第4章 糾合第5章 矜持第6章 軒昂第7章 蒼茫第8章 遠雷第9章 光芒第10章 智略第11章 茫漠第12章 遠謀
作品情報
作者の関連作品作者の作品一覧