アメリカ社会の人種関係と記憶 電子書籍版
4290円(税込)
作品内容
アメリカ的な人種差別の構造と変遷を読み解き、歴史の再認識を問う!18世紀末から今日までアメリカ社会で展開されてきた人種関係史との対話。先住の人びと、奴隷とされた人びと、移民として渡米した人びとなど、異なる状況下で多種多様な人びとが紡ぎ出してきた重層的アメリカ社会は、白人優位の人種差別が社会秩序として刻まれてきた歴史をもつ。その変遷を複雑な動態として個々人のレベルで捉えようと、半世紀にわたって発表されてきた12の「作品」を収録。今や人種差別問題は、「自分は何者か」「人とは何か」を問う問題でもあり、その意味で本書は、歴史認識の変遷と歴史の問い直しの現状を射程に入れつつ、今を生きる私たちに「あなたは何をどう考えどう行動しますか」と問いかける労作である。〔主な目次〕まえがき ◆第一部 奴隷制時代の自由黒人とアメリカ社会 第1章 フランス/ハイチ革命の記憶と自由黒人(1790年代~1830年代)三 フランス革命の「悪しき」影響四 自由黒人デンマークの蜂起計画(1822年)――ハイチ革命を目指して五 移住問題と自由黒人――忘却されるハイチ共和国おわりに――フランス/ハイチ革命の忘却 ほか第2章 自由黒人デンマークの蜂起未遂事件とチャールストン二 奴隷とされていた人びとチャールストン――裁判から見える状況三 奴隷制を基盤とする社会秩序形成 ほか ◆第二部 ウィルミントン事件の諸相序にかえて ウィルミントン事件を見る視座第1章 再建期のせめぎあい――ウィルミントンでの白人優越主義二 黒人市民の活動開始――連邦軍黒人中隊に助けられて四 民主党支配確立へ ほか第2章 「白い革命」(1898年)一 1890年代のノースキャロライナ州――「白い革命」の背景と展望四 「白い革命」の担い手 ほか第3章 「白い革命」下の黒人市民二 「白い革命」の衝撃三 黒人市民の進路 ほか ◆第三部 黒人コミュニティの可能性――シカゴの事例第1章 黒人銀行家ジェシー・ビンガと仲間たち一 起業するジェシー・ビンガ――様々な人びととのつながり二 銀行という媒体に集う人びと ほかコラム ロズモンドさんにとってのビンガ第2章 シカゴ黒人新聞『ディフェンダー』の子供たち ――ビリケン倶楽部の人種/国民意識(1921年~ 1942年)一 「ディフェンダー・ジュニア」登場――人口増加、暴動、子供組織二 ビリケン倶楽部の発展 ほか ◆第四部 歴史のなかの実態と虚像第1章 白い肌の「黒人」――アレックス・マンリー二 ウィルミントン事件のアレックス・マンリー三 一〇〇年後のアレックス・マンリー再登場五 アレックス・マンリーとは誰なのか ほか第2章 1990年代の「文化戦争」――左翼ギトリンの思い二 エリート文化をめぐる「文化戦争」──その多様な戦場四 多文化主義をめぐる論争とギトリン ほか第3章 20世紀アメリカにおける暴力の不可視化と秩序形成 ――キング象徴化と「カラーブラインド」の遺産第4章 21世紀に続く? カラーブラインド――チャペルヒルの事例第5章 歴史の実態とマスター・ナラティヴ ――活動家ブルース・ハートフォードとの対話から
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