存在と秩序 人間を巡るヘブライとギリシアからの問い 電子書籍版
8250円(税込)
作品内容
【内容紹介・目次・著者略歴】人間にとって存在と秩序はいかなる意味を持つのか、ひいては人間は存在と秩序についていかに思考してきたのか。このような問いが土台にある本書は、古代ギリシアとヘブライの思想が交叉し発展したヨーロッパ精神史の原点を再考する。本書はまず、ニュッサのグレゴリオスに目を向けることから始め、エウリーピデースやヘロドトス、トゥキュディデースらのテクストからアテーナイ民主政における説得と情念の意義を考える。次に、プラトンの後期対話篇から、人間の生と共同性の存続を探究した彼の晩年の思考を明らかにする。その上で、プロティノス中期の精華である『エネアデス』IV3-4〔27-28〕『魂の諸問題について』に焦点を絞り、コスモス(宇宙、世界)やテクネー(技術)と人間の関わりを巡る彼の思索を、中間性という概念を手がかりに丹念にたどる。さらに、『創世記』の族長物語とヨセフ物語における兄弟の逆説がもたらした情念の相克とその浄化を巡る考察を経て、神と人間それぞれにとっての情念と秩序という視座から『ヨブ記』を読み解く。最後に、ロゴスとパトスが交叉する『オデュッセイア』から、人間の秩序についての思想の展開を読み取る。従来、十分に論じられてこなかった、古代ギリシアとイスラエルの思惟が各々のあり方で、しかし共に問い接近しようとした地平の根幹に挑む。【目次より】はじめに第一章 生き続けること 民主主義の原義と本質第一節 アテーナイの民主政第二節 説得と情念第二章 プラトンにおける人間の生と共同性 後期対話篇を素材に第一節 『ソピステス』第二節 『政治家』第三節 『法律』第三章 プロティノスについての存在論的考察(一) 『エネアデス』IV三─四〔二七─二八〕第一節 宇宙の魂による制作 IV四、一〇─一三を中心に第二節 技術(テクネー)を巡る思惟の位相第四章 プロティノスについての存在論的考察(二) 『エネアデス』IV三─四〔二七─二八〕 第一節 再論 存在への問いをプロティノスに見いだす意味第二節 われわれの魂と中間的存在者たるわれわれ人間第三節 中間的存在者としての人間と記憶第四節 生成するものの存続と、中間的なるものの意義第五章 情念とその浄化 『創世記』を巡る一考察第六章 情念と秩序 『ヨブ記』第一節 序曲と第一回討論第二節 第二回討論第三節 第三回討論第四節 二八章から三一章まで(知恵の所在を問う歌およびヨブの独白)第五節 神の弁論から終曲まで第七章 言葉の行方 『オデュッセイア』第四巻を中心にして『オデュッセイア』第四巻における話者とその視線おわりに註※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能も使用できません。藤田 潤一郎1969年生まれ。政治思想史学者。関東学院大学法学部教授。京都大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学。博士(法学)。専門は、政治学、政治思想史。著書に、『政治と倫理 共同性を巡るヘブライとギリシアからの問い』『存在と秩序 人間を巡るヘブライとギリシアからの問い』などがある。
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