句集 秋灯 電子書籍版
1760円(税込)
作品内容
「日本で初めて俳句という語を用いた、「ホトトギス」の主宰者、正岡子規は主観を省略したスケッチ、つまり写生の用法を生み出した。主観は読者がそれぞれに感じとって欲しいということだろう。その流れを汲む飯島俊子の句集もしかりである。飯島俊子の俳句は、事実を自分の目で見、耳で聴き、肌で感じ、生きていく上での中で体感し、その中で生まれたのである。部屋に閉じこもり、机に向かい、頭の中だけで作りあげた作品ではこうはいかない。日本は世界の数多くある言語の中でも、特に美しい言葉を持っていると言われている。例えば四季がはっきりしている日本の季節、「秋」を表現するにしても、露・白露・露結ぶ・釣瓶落し・白秋・花野・山粧う・小春日和など数えきれない程の表現方法がある。つまり同じ秋でもいち日ごと、また朝夕によって表現が変化するのである。それを十七文字で表現するにはなまじの語彙力では不可能である。それを見事に生かしているのがこの『秋灯』である。そこには現代人が忘れている、日本の美が、心が我々の琴線に触れて来るのである。」(吉田 司氏 『秋灯に寄せて』より)
作品情報
作者の関連作品作者の作品一覧