エニアック 電子書籍版
1650円(税込)
作品内容
一般にジョン・フォン・ノイマンが「コンピュータの父」と呼ばれるが、実は彼は本当の「父」ではない。その栄誉は、世界初のデジタル式汎用電子計算機を設計・製作したジョン・モークリーとプレスパー・エッカートに贈られるべきであろう。モークリーとエッカートは、ペンシルヴェニア大学ムーア・スクールで出会い、「汎用電子計算機(コンピュータ)」という画期的な構想を生みだすが、同僚や上司たちからは相手にされなかった。だが戦況が悪化する中アメリカ陸軍に見出され、資金援助を受けることになる。二人の率いた開発チームが、技術的なハードルやあらゆるトラブルを克服し、作りあげたのが約18000本の真空管を使用した巨大なコンピュータENIAC(エニアック)だった。ENIACは、当時利用されていた卓上計算機器で20時間、微分解析機で15分かかる弾道計算をわずか30秒で計算することができた。今日では、その全処理能力は小さなピン程度の大きさの集積回路に収まってしまうが、ENIACがなければ、現在に至る技術革新は起こらなかったかもしれない。だが、その偉業が達成された後、開発チームは空中分解し、二人は軍事でも科学でもなく生活にかかわる商業でのコンピュータ活用をめざして世界初のコンピュータ・メーカーを設立する。華々しい未来が開けているかのようにみえた二人に個人的な悲劇が襲いかかる。そして追い打ちをかけるようにして専門家としての挫折に見舞われていくのだった。モークリーとエッカートが技術的な困難を乗り越えて伝説的なマシン「ENIAC」を生み出すまでの3年間の開発競争と、「世界初の汎用電子コンピュータ」という輝かしい成功の陰に埋もれてしまった二人をめぐる人間ドラマを描く。
作品情報
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